Makerガバナンスエピソード57(移行ついて): 2019年10月18日

Rich 00:00

  • MCDとは要するに何か

    • SCD(単数担保型Dai)は、現時点まで概念検証(PoF)でした。国際市場の観点で見ると、SCDの流通数は8000万とごくわずかです。MCD(複数担保型Dai)によって、Daiの流通数を格段に増やし、規模を拡大することを可能にします。またMCDにより、大手パートナーとのシステム連携も開始できます。
    • 新たな担保に加えて、新しい重要なメカニズムも実施されます。例えば、安定化手数料は、現在のように別々に収集されるのではなく、継続的に集められます。
    • 新しい種類の担保の導入により、Makerは現実的に社会に関わることができるようになり、それはエコシステムそしてMakerのプロトコルにとって有益になります。
    • 多様化によりシステム全体のリスクを軽減するために、原資産のポートフォリオが構築されています。より多くの資産を追加することでシステムへのリスクが増加するという意見には根拠がありません。
    • DSR(Dai貯蓄率)も重要な特徴です。MakerはDeFi(分散化金融)の基層を変えています。私たちは、収益が組み込まれた通貨を目にすることになります。CDP所有者から安定性を求める人へと価値が移転します。これにより、今までの定説が大幅に覆されることになるでしょう。
    • DeFiの世界を他人に紹介し参加してもらう際に、一番の障害となるのがトランザクションのコストです。DSRを利用すれば、DeFi社会のユーザーはdapps上でアクティビティにかかるコストを負担できます。
    • インテグレーション・チームは、今後の移行について全員に共通の理解、考えを持ってもらうために、熱心に仕事に取り組んでいます。
    • また、MCDにより、ガバナンス・セキュリティ・モジュール、緊急セキュリティ・モジュール、オラクル・セキュリティ・モジュールといった、より強力な新しいセキュリティ・モジュールが導入されます。
  • 現時点までMakerは、安定化手数料の調整を通じてDaiの米ドルペッグを維持し、ガバナンスプロセス全般を改善するという、一つの分野のみを取り扱ってきました。

  • 次の4週間では、新たな2つの分野、つまりSCDとMCDの取り扱いを始めることになります。そのため、いくつかの質問に迅速に答えなければなりません。

    • ガバナンスのエコシステムは、どのくらいの期間、SCDとMCD両方のエリアをサポートする予定ですか?

    • 運営を行うコミュニティーである私たちは、どれだけの間接的負荷を処理できますか?

    • どのようにして、この二つの分野での安定性を保証しますか?

    • これらの課題に対処するのに十分なほどの機敏性または反応の速さを維持するには、どうしたらいいですか?

    • MCDにおいて新たな他の変数を管理するプロセスを、どうやって確立しますか?

  • CDPエンジンとDaiトークンをDeFi領域における中核機能と捉えることができます。そのため、これらを細心の注意を払って扱う必要があります。

  • ディスカッションについては、こちらをご覧ください。

Cyrus

リスクと移行について 14:26

  • まず初めに、SCDのライフサイクルとは何か、そしてGlobal Settlementの詳細について説明します

    • これらはコミュニティが考えなければならない判断です。MKR保有者は、ユーザー基盤を保護する最終的な責任があります。私たちのゴールは、誰にも無理強いをしない方法でユーザーを管理し、その結果、障害やリスクを可能な限りに減らすことであるべきです。
    • リスクチームの仕事は、これらの課題にどのように対応するかについての提案全てを検討することです。
  • もしコミュニティがSCDを存続させたい場合は、彼らにはそうする権利があります。MCDの技術の中に組み込まれたPurityDaiと呼ばれるSCDをキープする方法があります。

  • 誰にも移行を強制することはできません。エコシステム全体のために、何が早めに行われるべきかのプランを考えなければなりません。それにはDeFiパートナーも含まれます。しかし、今すぐに決定されるべきことは何もありません。

  • そもそも決定はコミュニティが行うものなので、6ヶ月などと言われている日付に関する情報は現時点では誤ったものであり、これらに関するディスカッションは始まったばっかりです。

  • 移行について

    • 二つの主要なステークホルダー…Sai(SCD)保有者とCDP所有者
    • これより先は、SCDのDai(SCD)をSaiと、MCDのDai(複数担保型Dai)をDaiと呼ぶことにします。
    • 私たちの目標は、Sai保有者とCDP所有者を両方とも円滑に新しいシステムに移行することです。
    • これには、いくつかのリスクが伴います。気をつけて準備しておく必要があることが数個あります。
    • コミュニティは、これについて共通の認識、意見を持っている必要があります。
    • 移行はリスクというより、ビジネスに基づいた決定です。
    • 約8500万のSaiが流通しています。これを全てMCDに移行したとすると、重大な供給ショックが発生するでしょう。Saiの優れている点は、ここ2年間稼働しており、流動性が高く、多くの統合パートナーが存在していることです。ローンチ時においては、Daiは同等のレベルには達しませんが、インテグレーション・チームとパートナーの努力によって、相当数が流通するでしょう。このために、理想的ではない移行方法もあります。例えば、短絡的な移行方法として、Sai保有者にSaiをオープン市場で売りDaiを購入するように言うことができますが、これによりスリッページが生じ、価格変動幅が大きくなります。
    • どれだけ早急にみんながMCDに移行したいかによりますが、適切に準備がされていないと、市場の混乱などのリスクが発生するかもしれません。ありがたいことに、Makerのエンジニアはこれについて長い間熟考して、「移行コントラクト」を作成しました。
    • まだフィードバックをそんなにもらっていないので、ほとんどの人はまだ目を通していないのだと思います。こちらからご覧ください。
    • 基本的に、移行コントラクトとはSaiを担保としてDaiを発行する特別なCDPです。それと並行して、移行CDPで担保されたSaiを使用しSCDのCDPをMCDのCDPに移行できます。
      • CDPを移行するには、デポジット・コントラクトにSaiがなければなりません。
      • また、CDP所有者に安定化手数料を最初に支払わなければならないという問題点もあります。
      • 移行コントラクトは、CDPの安定化手数料を支払うのに十分なMKRがあるかどうかを見るために、ユーザーのウォレットをチェックします。
      • インテグレーション・チームは、DEX(分散化取引所)上にある、MKRの流動性を高めるためのアービトラージ・ボットのオープンソース化も行っています。
      • Makerのプロップトレーディング・デスクは、安定化手数料の支払いのためにMKRに殺到する需要を円滑に処理するために、MKRの流動性を高めます。
  • SaiとDaiのペッグに関する金融政策について考えなければなりません。迅速に対応する準備が必要です。重要な問題は、ガバナンス・コミュニティが賛成できるリスクチームへの委任はどの程度か、ということです。

  • SaiからDaiへのバージョンアップには、たくさんの利点があります。なので、私たちはデフォルトの場合では全てがスムーズに行われると予測しています。

  • 不測の事態に備えた計画を立てるために、エッジケースについて議論し、その内容を明示すべきです。

  • 最後に私が話したいことは、移行のガバナンスサイクルは、MCD担保導入のために我々が築いてきたより標準的なリスク・フレームワークに、どのような影響を与えるかということです。

    • 移行による莫大な供給ショックを考慮すると、リスクプレミアムは二の次で、ペッグを確実に安定させることが優先されるべき懸念事項です。この場合において、資産の安定性またはリスクは重要ではありません。MCDの開始時に、大量になる可能性のあるDaiを導入するという事実によって、ガバナンスにある程度の必要な関心がもたらされます。
    • Makerは、来年から、リスクとガバナンスのサイクルにより本格的に取り組み始めると、私は考えています。
  • 移行のリスクパラメータがどうなるかは、未だに解決されていない問題であり、来週また触れることにします。移行を行うにはいくつかの方法があります。これは何を最適化しようとしているかという、オペレーション上の問題になってきます。私は、Makerが混乱を最小限に抑えるための最適な案を提出すると予想しています。他に考慮すべき点があると皆さんが考えているかどうか、ぜひ聞いてみたいと思います。

質問

  • 19:37: 投票においては、Global Settlementの可決はどのように行われますか?
    • 基本的には、コミュニティはガバナンス投票、そして次にエグゼクティブ投票を通過することによって、Global Settlementを引き起こすことができます。
  • 32:44: CDPを移行するには、コントラクト上にSaiがなければならないと言っていましたが、CDP所有者が移行を行うには、Sai保有者に依存することになるということでしょうか?
    • はっきり言うと、移行コントラクトを使用する必要はありません。手動で移行を行うことも可能です。とは言っても、その依存関係は存在します。CDP所有者が、MCDに移行するのに必要なだけの流動性をもたらすために、最初に移行を行うことを誓約した大規模なSaiのパートナーがいくつかいます。
  • 34:55: Sai価格の崩壊があると思いますか?
    • 基本的には、リスクは、どのように移行を行うかについての同意をコミュニティ内で構築する必要があるということです。そのためのアイデアの一つには、DSRを市場に出し、CDP所有者が移行を行う前にSaiの十分な流動性を保証するというものがあります。流動性の問題はないと思います。
    • DaiからSaiと同様に、SaiからDaiへの移行もあります。これは、ペッグ同士の価格差解消に役立つでしょう。
  • 01:09:34: MCDに移行してもらうために、なぜ積極的対策が必要なのでしょうか?MCDがSCDよりも優れているのならば、市場は結局MCDに集中するのではないでしょうか?
    • Cyrus…この質問に対する答えは、MKR保有者に関係があります。彼らはリスクの観点と発展の観点の両方から見て、全てのステークホルダーにとって最善と思われる方法で、MakerDAOのエコシステム全体を管理する権利があります。
    • Rich…「集中する」とは具体的にはどのような意味でしょうか?コミュニティは、SCDのライフサイクルの定義の仕方について結論を出さなければいけないと思います。
    • Cyrus…興味深いことは、この質問は「なぜMCDなのか」という疑問を言い換えているということです。これは、私たちはMCDの利点全般とSCDより優れている理由、MCDに移行すべき理由を思い出させてくれます。
  • 01:13:15: 今後のガバナンス&リスクコールでは、何を説明しますか?
    • 来週…課題となりうるMCDのパラメータについて。ETHのパラメータだけでなく、SaiのCDP、また同様にBATをトークンとしたCDPについての議論。安全な移行を目的とした適切なリスクパラメータの計画を立てるかもしれません。
    • 再来週…3つのオークションタイプのオークション・パラメータについて。
    • その翌週…ガバナンス・セキュリティ・モジュール・パラメータについて。
    • ローンチ前最後のコール…最終的まとめ
    • Rich…これらの途中で、ローンチに通じる投票とディスカッションを行います。
  • 01:16:40: MCDのホワイトペーパーはいつになりますか?
    • 現在のホワイトペーパーがアップデートされたバージョンになる可能性が高いです。ルーンがこれに取り組んでいますが、いつになるかは定かではないです。
    • 財団では特に誰もホワイトペーパーを待ち望んではいません。様々なシステムの仕様に関する特定の技術文書があります。
    • Cyrus…ホワイトペーパーは、あったらいいなという以上のものでしょうか?コミュニティは、ホワイトペーパーについてどれ程の必要性を感じているでしょうか?(具体的かつ精度の高いドキュメントが多数あることを考慮すると)
  • 01:20:27: MCDのコードは、監査レポートの公開後に変更できますか?
    • ホワイトペーパーは、コードフリーズではなく、むしろ機能のフリーズを意味します。Makerはセキュリティのロードマップに沿って進歩しながら、行った監査の結果を処理し、ローンチに近づいている今も、マイナーな細部の変更を行っています。加えられる、または改善されるべき小さな変更点があるかもしれません。
    • 最新のリリースで行われたことは、いつでもここで確認できます。
    • これらの変更は、最小限に抑えられており、システムローンチ前の最後の改善に特有なものとなっています。最小限かつ特定的なものなので、コードを最初から再監査する必要はありません。
  • 01:23:13: 検証ステータスについての正式なアップデートはありますか?
    • コアコントラクトは正式に検証済みです。
    • それ以外は、とりわけCDPのマネージャーコントラクトについては、現在正式に検証できるように取り組んでいます。正式に検証済みでないものは、基本的には、検証されていないより大きなコードベースに依存しているものです。DS-Chiefがこの例の一つです。DS-Chiefが正式に認証されるためには、まずSCDのコード全てを正式に検証しなければなりませんが、それは実現不可能です。
    • セキュリティのロードマップは現在進行中の取り組みです。バグバウンティに終わりはありません。システムに新たなモジュールを追加する時、任意でない限り、高水準のコードセキュリティを使用してモジュールを実行します。その水準を実際に利用するかどうかは、コミュニティ次第です。
  • 01:26:55: DS-chiefの両システムのステータスについて。一つのDS-chiefが両システムのガバナンスに繋がるのですか?
    • 最初は、両システムで同じDS-Chiefが使用されます。将来的には、正式に検証されたDS-Chiefを導入したいと思っていますが、これは、完全にコントラクトを書き換えることを意味します。
    • MKR有権者は、一つの投票コントラクトでSCDとMCD両方に投票できます。有権者は引き続き単一のダッシュボードの利用が可能です。

https://www.youtube.com/watch?v=eRCnit2NLHI&list=PLLzkWCj8ywWNq5-90-Id6VPSsrk4OWVan

1 Like

MCD移行について質問です。

まず前提としてこの2つは正しいでしょうか?
1. SAI→DAIへの変換が可能
2. CDP→Vault(MCD)への移行時には発行したSAIの返済が必要

上記が正しい場合、CDP Ownerは返済する為のSAIがDAIへ変換されてしまい、市場から調達できなくなるのではないでしょうか?

  1. SaiはDaiへの変換するのが可能です。Global Settlementは行いするまえ、DaiはSaiへも変換することができます。
  2. はい。そうです。

Global Settlementのタイミングについては、コミュニティが決まなければならないことなので、心配する場合は早めに移行した方が良いと思います。

1 Like

Saiは市場から調達できなくなる場合は対策も考えなければならないと思います。

ありがとうございます。

という事はやはり、CDPを持っていない人がSAIを買い集めてDAIへ変換してしまうと
CDP Ownerは返済用のSAIを集められなくなるのでは?
SAIがなくなってしまったら緊急シャットダウンで精算するしかないという事でしょうか

まず、移行コントラクトについて説明した方がいいと思います。

移行コントラクトを使用して、CDPをSCDコアからMCDコアへ移行することも可能です。これは、migrate(移行)と呼ばれる機能を通じて行われます。この機能は基本的に、移行のプロセスがスムースで行うために、移行コントラクトに預けられた余分なSai**(SaiからDaiにバージョンアップしたユーザーから)**を使用して、CDPを閉じようとします。

これを行うには、CDPの管理権を移行コントラクトに移さなければなりません。そうすることで移行コントラクトは、コントラクトに預けられたSaiを使用して債務を返済、担保のETHを償還、MCDシステムに新しいCDPを作成、担保のETHをロックし、発行されたDaiを使用して債務を返済します。これにより、MCDに以前と同等のCDPの債務が発生します。

ただし、CDPを閉鎖するには、MKRの手数料を支払う必要があるため、移行コントラクトを承認して、アカウントからMKRを使用して移行を実行する必要があります。

SAIがなくなってしまて、緊急シャットダウンで精算するの可能性は今の段階と移行コントラクトの対策面から見ると、低いと思います。

英語版の説明はこちらです。

1 Like

詳細な説明ありがとうございます。
SAI→DAIの変換ContractでストックされたSAIがCDPのMigration ContractにDepositされており、そこに残ったSAIで返済が賄えるSCDについては、SCD OwnerがSAIを持っていなくてもMigration出来るという事ですね。
ただしSCD OwnerはSFを支払えるMKRを所持する必要があると。

1 Like